メモ・multiple loci

無限アレルモデルのHW法則への適用
(どのサイトからコピペしたか忘れた。。。)
遺伝子DNAの塩基配列が調べられるようになって、限られた調査数にも関わらず多数の「対立遺伝子」がみつかるようになった。このような状況で、個々の表現型の観測値と予測値を比べる従来のX2や尤度比を用いる検定法は、個々の観測値が小さく、あるいは0となって、基礎となっている大標本理論にそぐわない。

そこでいくつかの方法が考えられている。ここでは
(1)ヘテロ接合の合計で観測値とHW法則の予測値をくらべる方法と
(2)異なる遺伝子型の数で観測値と予測値を比較する方法
を取り上げてみよう。


例えばDeka(1991)はニューギニアで6座位のVNTRの多型を調べた。

[Deka R, Chakraborty R and Ferrell RE 1991. A population genetics study of six VNTR loci in three ethnically defined populations.Genomics 11: 83-92]

そのうちのD1S76座位で、35人から6つの対立遺伝子がみつかった。これらの対立遺伝子の数を数えると、1,3,7,9,25,25(合計70)であった。20人が7種類のヘテロ接合のいずれかであった。 HWの法則から予測されるヘテロ接合の合計の予測値は25.4で、X2=4.25(df=1)は5%水準で有意である。ホモ接合は4種類でその合計は15人で、その予測値は9.6となる。ヘテロ接合には7種類の違う遺伝子型がみつかり、ホモ接合には4種類の遺伝子型が観測された。これらの数がHWの法則からの予測値とくらべることになる。

Chakraborty(1993)によると違う遺伝子型の平均予測値(M)と分散は(V)は次式で表される。

M=K-T1、
V=T1(1-T1)+T2

K:考えられる遺伝子型の数、
T1:違う遺伝子型についての(1-遺伝子型予測頻度)nを合計したもの、
T2:2つの遺伝子型を取り出し、(1-遺伝子型1の予測頻度-遺伝子型2の予測頻度)nをすべての組合せについて合計したものである。
nは標本の大きさである。

VNTRのデータでは、ホモ接合については M=3.329, V=0.578=(0.760)**2、ヘテロ接合については M=10.106,,V=1.652=(1.285)**2。
1),2)いづれの検定法でもヘテロ接合の観測値が少ないことが示唆される。この真の原因はこれだけではわからない。遺伝的あるいは人類学的検討や分子遺伝的な考察をあわせて行う必要があろう。