”Megabase deletions of gene deserts result in viable mice”

Nat oct21,2004の論文。

gene desertと呼ばれる、一般に500kb以上にわたり遺伝子のないゲノム上の領域がある。(哺乳動物?では、)この「遺伝子砂漠」はゲノム全体の25%を占めるが(Science302,413、2003)、その存在意義はまだよく解明されていない。

今回マウスのchr3、chr19でそれぞれ1511kb、845kb欠失させてみたところ、体重も、生後25週までの生存率も同じで、臓器の重さや血漿中の尿素とか色んな成分についてもwild typeと比べてみたけれども特に目立った違いはなかった。ヘテロマウスを掛け合わせてその子供のホモ、へテロの数比べたけど、理論値どおりで胎内での致死率にも影響なしみたい。

ただ、分子レベルでは遺伝子転写にちょっとした違いがみられ、人とマウスで9割以上相同性もつやや長めのフラグメント(element)を遺伝子砂漠の中から15個選んでレポータージーンアッセイをやったら、1個だけエンハンサー活性を示すやつがあった。ちなみにこの配列はカエルなど脊椎動物で広く保存されていた。ちなみに2003年のサイエンスに(1ページであっさりまとめられているけど)掲載された同じグループの研究はこの最後の実験だけ抜き出してきた感じの内容。

物足りなかったのは、レポーターアッセイで活性を示したエンハンサーが、野生型とトランスジェニックとの間で転写量に差がみられた遺伝子の活性に関わってるのかどうか調べていない点。ひょっとすると、調べたけどこの遺伝子とこのelementは関係なかったのかも。欠失させた領域が広すぎて候補にあがらなかった配列もあるだろうし。

ヒトとマウスで保存されていてラットとマウスで保存されてない領域とかって重要じゃないのかな?、、、でもマウス間で保存されてない遺伝子が、なんとかウイルス(忘れた。MHC-likeな分子発現してTcellのチェックを逃れるウイルスだった。)の感染に弱いってことも2002年くらいのNatImmunに出てたし、必ずしも保存されてない=unimportantじゃないんだよね。

まとめると、遺伝子砂漠ってなくてもfatalではないものの、この領域にも調節配列として機能を果たしている部分があって全く機能がないわけじゃなさそう、それに今回テストしてない項目もあるし、まだまだ何が出てくるかわからないよ、って話か。